◇◆【ENNDAL通信室】◇◆タルキール覇王譚特別レビューvol.8「賢いなりすまし」
タルキール覇王譚特別レビューへようこそ!
このコーナーでは公式にプレビューされたタルキール覇王譚のカード達から「これぞ!」と思うカードを選び、そいつをレビューしていくぞ。毎平日更新されるので、欠かさずチェックしてほしい!

それではさっそく第八回のテーマを紹介しよう!

賢いなりすまし
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(2)(U)(U)
クリーチャー 多相の戦士
0/0
あなたは賢いなりすましを、戦場に出ているいずれかの土地でないパーマネントのコピーとして戦場に出してもよい。

《クローン/Clone》はα版の昔から存在し、たびたびルール的な厄介事を我々にもたらしてきた。しかし時が過ぎ次第にルールが整備されてくると、それまでルール的な問題児であったクローンは、一躍その強さに目を向けられる事になる。《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》や《幻影の像/Phantasmal Image》はスタンダードで一時代を築き、時としてモダンでの使用も視野に入るカード達だ。今回のプレビューカードはそんなクローン達の最新版であり、これまでのクローン達が出来なかった事をやってのける。

さて、クローンの強さは戦場に出ている他のカード達に完全依存する訳だが、その「強さ」とはコスト比と汎用性に二分される。
コスト比とはクローンがなりすます先のパーマネントのコストとクローンのコストとの比であり、その比が大きいほどクローンは割安なカードになる。(わずか4マナで《グリセルブランド/Griselbrand》が手に入るのと、4マナかけて《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》を手に入れるのとでは大きく違うだろう?)
それに対し汎用性はなりすませる範囲を指す。戦場は常に移り変わっており、なりすますべき最適解もまた時とともに異なってくる。より多くの選択肢を持つことはそれだけで大きなアドバンテージなのだ。(《名誉回復/Vindicate》は3マナ・ソーサリーと言う平凡さでありながらレガシー環境ですら使用される強力カードであるが、その理由も干渉できる範囲の広さにある。)

前者の代表が《幻影の像/Phantasmal Image》であり、後者の代表が《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》だが、今回のクローンがどちらに属するかと言われれば、間違いなく後者だろう。なんと言っても土地以外のパーマネントであれば何にでもなるのだから、その汎用性は無限大と言える。
余りにも汎用的であるため、このカードは特定の使い方に囚われず非常に多岐にわたって使われる事になるだろうが、今日はそんな中でも一際ビビッドなデッキを選んでみたぞ!
ティムールズ

28/Creatures
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》
4《凶暴な拳刃/Savage Knuckleblade》
4《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4《都市国家の破壊者/Polis Crusher》
4《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
4《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》

8/Spells
3《ティムールの隆盛/Temur Ascendaly》
3《書かれざるものの視認/See the Unwritten》
2《ティムールの魔除け/Temur Charm》

24/Lands
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《奔放の神殿/Temple of Abandon》
4《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
4《森/Forest》
2《山/Mountain》

このデッキは古き良き「Fires」に少しのスパイスと高い汎用性を加えたものだ。ティムールの隆盛は《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》にあって他の類似品になかったもの、「速攻を持たせる以外の効果・二枚目が無駄にならない効果」を持っている。それも一級品の効果だ!スタンダードの単体除去は軽く限定的なものと重く汎用的なものに二分されてきている。ファッティを除去するためには相応のコストを支払わなければいけないわけだが、そうする事で追加ドローしたカードを使う時間が生まれる訳だ!

デッキの基本的な動き方としてはFiresと変わりない。マナ加速し、「ヤヴィマヤの火」を設置し、ファッティを連打する。Firesには《はじける子嚢/Saproling Burst》と言う必殺技があったが、こちらにも書かれざるものの視認と言う必殺技を搭載している。このデッキであれば獰猛の達成は非常に容易であり、6マナで2体のファッティが追加され、ほとんどの場合それらが速攻で殴りかかってくると言うのは相手からすれば悪夢でしかないだろう。

さて、そして今日のテーマである賢いなりすましの登場だ。
多くの場合、こいつは何かしらのファッティとして登場するだろう。(賢明な諸君はすでに気づいているかもしれないが、《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》を採用しなかった理由はここにある。)
それだけでも十分強いのだが、賢いなりすましの真骨頂はここからだ。
時としてコントロール側が大量の除去呪文で武装し、こちらのクリーチャーを軒並み破壊しつくすケースもあるだろう。そんなときはティムールの隆盛になりすますことで、1対1交換の消耗戦に完全勝利する事が出来るだろう。
またある時はこちらの隆盛やファッティを《払拭の光/Banishing Light》で追放してくるかもしれない。そんなときも悪しきリングになりすます事でこちらの手駒を解放してやる事が出来る。
さらにある時はこちらのファッティ達を《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》の小マイナスで一掃してくるかもしれない。
そんな時は神に祝福された女勇者へとなりすまし、トークン量産体制に入る事が出来る。エルズペスのミラーマッチでは先にトークンを並べだした方が圧倒的に有利であり、ティムールの隆盛によって速攻が与えられるのであればなおの事だ。
RGカラーと言うとどうしても小回りの利かなさが目立ってしまうが、賢いなりすましはそんな不器用なデッキに時計職人がごとき器用さをもたらすマスターピースなのかもしれない。

今日はここまでだ。明日以降も様々なカードをレビューしていく予定なので、レビューしてほしいカードがあれば是非コメント欄で教えて欲しい。何か質問があればそれもコメントしてくれれば答えられる範囲でお答えしよう。

それではまた明日!



文章:ネタ蒔き時

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